排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 *



 午後になり、全てのケーキは完売し、残るはジュースのみとなった頃、廊下がなにやら騒がしくなった。

「ねえ、あの二人、格好良くない。背が高い」

「ホントだ。ここの生徒じゃ無いよね」

 男の人が並んでるのかな?ずっと女の子達ばっかりだったから、何だか新鮮。と、思っていると、教室に入って来た男子を見て、莉愛がピシリと固まった。

「だ……だだだだだ、大地!」

「……えっと、莉愛?」

 最悪だ……。

 完全に男と化した自分を見られるなんて。

 固まる莉愛だったが、その場にそぐわない呑気な声が聞こえてきた。

「莉愛嬢イッケメーン」

 大地しか見えていなかったが、そう言えば教室に入って来たのは男子が二人だった。

「あ……赤尾さん!赤尾さんも一緒に来たんですか?」

「そう。俺が大地を誘ったんだ。大地は莉愛嬢が来るなって言ったから行かないって言ってたんだけど、文化祭で浮き足立った男どもに、莉愛嬢取られるぞって言ったら付いてきた」

 いや、そんな浮き足だった男なんていないけど……。しかも、こんな男の格好をした私に、声を掛けてくる男子なんていないだろう。声を掛けてくるのなんて、女子ばかりだ。

 はははっと心の中で笑っていると、廊下から悲鳴が聞こえてきた。一体何が起こっているんだろと廊下に視線を向けると、そこにいたのは……。



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