排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
断るタイミングを逃してしまった莉愛は、仕方なしに言われたことをやってみることにした。まずは、水分補給に使用するスクイズボトルを洗い、ユニホームの準備をする。それからマネージャーの使用していたと思われるノートを何冊か手に取り開いてみると……。
何これ?
数年前までは、ノートにビッシリ、メンバーについての情報や、相手チーム情報、試合の内容などが書き込まれているというのに、ここ何年かは、ほとんど記載がされて無い。かろうじて、練習試合をしたチームの名前が記載されているのみだった。
これって、私がいる意味無くない?
そう思い、莉愛は拓真にスクイズボトルを洗ったことを告げ、帰ることにした。
「津田くん、スクイズボトルやユニフォームの準備出来たから帰ります。来週の試合には行きますが、それまでここには来ません。良いですか?」
「えっ……いや、まあ……試合に来てくれれば……」
「それでは」
莉愛が背を向け帰ろうとしていると、拓真が声を掛けてきた。
「姫川さん本当にありがとう。助かる。それから、俺は津田だけど拓真だよ」
そう言って拓真がにっと、笑った。