排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

「あれ?お前、狼栄の大崎大地だろ?」

 島谷が大地の前に立ち、値踏みでもするように全身を見た。

「……そうですけど?」

「ふーん。お前がね……」

 値踏みされていることに気づいた大地が、嫌そうな顔をした。

「莉愛ちゃんの彼氏だよね?」

「だったら?」

「俺も莉愛ちゃんのことが、好きなんだよね」

「は?何ですか?喧嘩売ってるんですか?」

 大地の顔から表情が消え、島谷を冷たく睨みつけた。

「喧嘩?んー、そうだね。そうだ!莉愛ちゃんを賭けてバレーで勝負しない?」

「莉愛を賭ける?そんな事出来るわけないだろう」

「何だ……案外ダメダメだね。勝つ自信ないんだ。莉愛ちゃんこんな奴やめて、俺の所に来なよ」

 莉愛に触れようとした島谷の腕を、大地は払い飛ばした。

「莉愛は渡さない」

「じゃあ、勝負でOK?」

「やってやるよ」

 島谷さんも、大地も私に何も聞かないで、一体何を考えているの?

 勝手に話を進めないでよ。

 意味が分からない。

 混乱する莉愛の横で、理花と美奈が、瞳を輝かせながら仕切りだした。

「莉愛を賭けての勝負ですね」

「了解です」

 理花と美奈が何処からか、メガホンを取り出した。

「二人とも、何処からそのメガホン出したの?!」

 呆気に取られる莉愛をよそに、理花と美奈は肺いっぱい酸素を取り込むと、大きな声を張り上げた。


「「30分後、莉愛を賭けての勝負を開催したいと思います。気になる人は体育館に集合です。それから、これを聞いた人は、他の人にも宣伝お願いします」」


 楽しそうな理花と美奈の後ろで、大地と島谷がにらみ合い、火花を散らしていた。


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