排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
「大地ごめんね。巻き込んじゃって……」
「別に全然大丈夫だよ。でも、島谷さんの事は相談してもらいたかったよ」
「うん……ごめんなさい。島谷さんはいつもあの調子だし、本気じゃないと思って……」
「莉愛……今日の勝負で分かったでしょ?島谷さん本気だったよ」
「……っ……うん」
「莉愛は莉愛が思っている以上に、魅力的な女の子なんだ。莉愛と出会った人間は、みんな莉愛が好きになる。お願いだから自覚して、注意しないとダメだよ。特に俺以外の男には気をつけて」
「……うん」
頷く莉愛の瞳を大地が覗き込むと、自分を映す大きな黒い瞳が、ゆらゆらと揺れていた。今にもこぼれ落ちそうな涙が、瞼の縁に溜まっている。涙を我慢する莉愛のその表情に、大地の心臓が鷲摑みにされた。苦しくなるほど、グッと締め付けられる心臓。
大地は「はぁーー」と大きく溜め息を付いた。
「心配だ……心配すぎる。そういう顔は俺以外に見せないでね」
「こんな男みたいな顔、見たって男子は何とも思わないよ」
「またそう言う……」
何も分かっていない様子の莉愛を、大地は抱き寄せた。
「莉愛聞いて、さっきも言ったけど、莉愛は魅力的な女の子なんだよ。どんな男が莉愛に近づいてきても、俺は莉愛を手放さない。今日の勝負も勝つつもりだった」
大地が本気で島谷さんと勝負してくれたことは、莉愛にも伝わっていた。
「うん。ありがとう大地、すっごく格好良かったよ。私も絶対に大地が勝つって信じてた」
信じていた……。
莉愛のその言葉が嬉しくて、莉愛を抱きしめていた大地の腕に力が入る。
「莉愛、好きだよ」
「私も大好き」
二人の顔が自然と近づき、唇が重ねられた。優しく、甘いキスは二人の気持ちを更に強固なものとした。