排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
春高予選開始
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11月28日春高バレー予選当日。莉愛達は予選の行われる群馬体育館にやって来た。ここは広大な敷地に本館である体育館の他、テニスコートや剣道場、弓道場に柔道場、アイスアリーナと宿泊棟まである。全国有数規模を誇る施設だ。その中の一つである一番大きな体育館のエントランスホールの前までやって来た莉愛は、大きな溜め息を付いた。
後ろを振り返ると、酷い顔をした部員達が、まるでゾンビのように体を揺らしながら歩いてくる。
「みんな昨日はちゃんと寝たの?」
「いや、全然……」
「ひつじ、1000まで数えたけど寝れなかった」
ははは……。
やっぱり、眠れなかったか。
それもそのはず、一回戦の相手は高崎英明高等学園。莉愛がマネージャーを初めて、最初にボロ負けしたチームだった。
「みんな練習してきたでしょう?大丈夫、今日は勝てるよ」
みんなを鼓舞するために声を掛けるも、莉愛の言葉はみんなの耳には届かない。何やらブツブツと気弱なことを言っている。どうしたら良いものかと考えていると、廊下の向こうから高崎英明高等学園のジャージを着た人達がやって来た。
「あれー?犬崎の皆さん、おはようございます。今日もうちが勝っちゃいますけど、恨まないで下さいね」
高崎英明高等学園の選手が、挑発的な言葉を投げてくる。すると、高崎英明高等学園の選手達から、クククっと馬鹿にした失笑が聞こえてきた。
「初戦が犬崎でラッキー」
「ホント、楽勝だな」