排球の女王様~私に全てを捧げなさい!

 *


 渋沢川高等学校対犬崎高等学校の第二試合が始まろうとしていた。

「みんな、第二試合が始まろうとしているけど大丈夫?」

 莉愛はベンチの前で皆の顔を、一人一人確認するように見つめていく。

 うん。

 みんな良い顔をしている。

 第一試合の時の顔が、ウソみたいだ。

 頷く莉愛の顔を見た大地が、ニヤリと笑った。

 何か企んでいる顔ね……。

 「じゃあ、みんな例のやつ、やりますか?」

 拓真がそう言うと、全員が莉愛の前に跪いた。


 ああ……そう言うこと。

 女王様になってやるって、言ったもんね。

 莉愛は髪をほどき、ジャージをマントの様に肩に掛け、腕を組んだ。

「みんな分かっているわね。第一試合の時みたいな、弱音を吐くことは許さない。私に勝利を捧げなさい」

「「「仰せの通りに」」」


 おっ……仰せの通りにって……何?

 それ、口裏合わせてたでしょう。

 言ってよ。

 何で私だけ除け者。

 ぐぅぬぬぬ……。

 心の声が漏れないように、顔の筋肉を引き締め、心の中で悶絶する。

 それにしても、みんな楽しそうな顔をしちゃって……。

 頑張れみんな、この試合も勝つよ。



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