排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
ベスト4
*::*
「おい、聞いたか?犬崎高等学校がベスト4だってよ。シード校破ったってさ」
「マジか、犬崎ノーマークだったな。有名な選手でも入ったのか?」
「さぁ~?でも、女王様がいるってよ」
「はぁ?女王様?女王様がいたって、女なら試合には出られないだろ?」
「だよな?」
そんな声があちらこちらから、聞こえてくる。
その声が聞こえないように、莉愛はロビーの隅で膝を抱え、耳を塞いでいた。
ヤダ、嫌だ、もう無理。
更に噂が広がっている気がする。
そんな莉愛の様子を見た瑞樹が、にゃははと笑った。
「うちの女王が、小さくなってるー」
「瑞樹ちょっと静かにしてろ」
拓真が莉愛の様子を心配しながら近づいてきた。
「大丈夫か?今日は助っ人を頼んだから、姫川も元気が出るはずだよ」
助っ人?
首を捻っていると、そこに現れたのは……。
「はぁ~い。みんな頑張ってる?」
「私達が来たからには、莉愛は大丈夫よ」
その声に莉愛が振り返ると、メガホンを持った理花と美奈が立っていた。
「理花!美奈!」
勢いよく立ち上がった莉愛は、理花と美奈に抱きついた。よしよしと、莉愛の頭を撫でた理花と美奈は、その場から莉愛を連れ出した。
「みんな、莉愛借りてくよ。状況は分かってるから」
「莉愛はこっち来て。始めるわよ」
分かってるって何が?
始めるって、何?
これから試合なのに何処に行くの?
ひぇ~何をするの?