排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
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第5回戦準々決勝、伊勢崎中央高等学校対犬崎高等学校。
「伊勢中ガンバー」
伊勢崎中央高等学校の応援団が、声をそろえて応援を開始する。さすがは、ベスト4常連校だけあって応援団の格が違う。息のそろった応援に拓真達の喉が鳴る。
「みんな、相手の応援に飲まれている場合じゃないわよ。一体何処を見ているの?いつも言っているでしょう。ボールを見なさい。あなた達が追いかけるのはボールよ」
とは言うものの、相手チームの応援団は強烈だな。体育館に響き渡る声援。これはメンタルがやられそうだ。莉愛が溜め息を付いたとき、後ろから大きな声援が飛んできた。
「「犬崎高等学校、ガンバー」」
「「捧げよ!犬崎高等学校」」
振り返ると、理花と美奈がメガホンを使って応援してくれていた。
「「犬崎の応援は、私達に任せて」」
ウインクしてみせる二人に莉愛は頭を下げた。
なんて頼もしい応援団なんだろう。
いつのまにか集まった犬崎高等学校の応援団は、全員がメガホンを持ち応援を初めた。そろった応援に莉愛も、拓真達も呆気に取られる。
いつ練習をしていたのだうか?
犬崎の応援団に背中を押されている気がした。応援の効果で運動能力がアップすると聞いたことがある。現に先ほど応援団がいなかった時は、動きが緩慢だった犬崎の部員達だったが、今はみんなの動きが違う。『応援は力なる』なんて言葉をよく聞くが、こんな時、実感する。本当に言葉どうりだと。
理花と美奈ありがとう。