排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
心の中で理花と美奈にお礼を言って、目の前の拓真達に視線を向ける。その時『ドンッ』と、応援団の声もかき消す、サーブ音が体育館に響いた。
「すげえ。4番の高野のサーブ強烈だな」
「狼栄の大崎みたいだな……」
一年生コンビが、顔をひくつかせながら、ボールが転がって行くのを見つめている。そんな二人に莉愛は声を掛けた。
「昨日のミーティングでも言ったけど、高野のサーブは大地にも匹敵するほど強烈だよ。でも、高野のサーブが取れなければ、大地のサーブなんて絶対に取れない。でも、みんなはこの日のために、レシーブ死ぬ気で練習してきたわよね?」
伊勢崎中央高等学校対策として私達はひたすらレシーブ練習を繰り返してきた。みんなの目が慣れるよう、莉愛は渾身の力を込め、サーブを打ち続けた。それはみんなが血反吐を吐くほどに……。
「みんなは4番高野のサーブがそんなに怖いの?私のサーブとどっちが怖い?弱気なこと言ってるとペナルティー追加するよ」
莉愛の言葉に犬崎の部員達全員が、顔を蒼白にしてカタカタと震えだした。
「「「全く怖くありません」」」
ふふふっ……そうでしょう。
「私達もアップ始めるよ」