排球の女王様~私に全てを捧げなさい!
にっこりと笑った莉愛の目は笑っていなかった。
その目を見た部員達は更に震え上がる。一番後ろで、一年生コンビが抱き合いながらプルプルと震えていた。一番ペナルティーが多いのが、この二人だ。そのおかげか、身体能力が爆発的に上がったのだが、レシーブに関してはまだまだだった。
「女王様が、サーブ打つみたいだぜ」
「マジで?女のサーブじゃ、うちの高野のサーブとの差がありすぎて、試合になったときビビッるんじゃね?」
その時……。
「ズドンッ」
鈍いボールの音が響き渡った。そして聞こえてくる莉愛の声。
「小池流星、ペナルティー」
莉愛は次のボールを手に取り、高く上げると、渾身の力を込めてジャンプサーブを打ち込む。
「ズドンッ」
更に鈍い音を立ててボールが体育館の床に食い込み、跳ね上がった。
「滝林洋介、ペナルティー」
莉愛が楽しそうに、黒い笑みを見せる。
「小池、滝林の一年コンビはホントに、ペナルティーが好きだね」
そう言って、次々にジャンプサーブを打ち込む莉愛。そんな莉愛の姿に伊勢崎中央高等学校の部員達も、応援団も目がくぎ付けとなった。
「グーパンでサーブ打ち込むとか人間業じゃ無いだろ」
「あれが女のサーブかよ」
「えげつな……」