初恋の絵
初恋の絵

「じゃあ、今月のテーマは『好き』。鑑賞会は29日!!以上。頑張れよ」



部長の中川先輩はそう言って、美術室から画板を持って出て行った。



―『好き』かぁ…



私はまだ真っ白な画用紙を見つめながら考えた。
まだ入部して2ヶ月たたないのに、難しいテーマだよなあ。



「『好き』…ねぇ」



「どしたの、澤田さん」



私は思ったことが口に出てしまったらしく、隣りに座っていた金谷さんに聞かれてしまった。



「えっ、あ~…。金谷さんは何描くつもり?」



「もちろん、彼氏。あたしにとって彼はあたしの『好き』のカタマリだもん」



そうニコニコ笑顔をこぼしながら、画用紙を挟んだ画板と鉛筆と消しゴムを持って美術室を出ていった。

金谷さんには、中学から付き合っている彼氏がいて、高校も一緒に来たって言ってたっけ。



―彼氏…恋人…好きな人…



そう思った瞬間、小峰先輩の顔が浮かび、私の顔は一気に熱を持ち始めた。

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