初恋の絵

少しの沈黙の後、先に沈黙を破ったのは先輩だった。


「…で?今月のテーマは?」



「えっと…『好き』です」



私は少しためらったけど、嘘なんてつく理由はないし、もうすでにこの絵を描いてるのバレてるわけだし…。



「じゃあさ、これ、誰?」



先輩は私の絵の中心にいる人の影を指差した。

もう開き直ろう!!
嘘はつかないで言っちゃえ!!



「こ…小峰先輩…のつもりで描きましたです」



「まじで?!てか"描きましたです"って!!」



と驚きながらも先輩は笑ってくれた。

でもすぐにその笑い声は消え、先輩は何か考え始めた。

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