初恋の絵
私はクラクラして倒れそうだった。
まさか、私の憧れで好きな先輩も私のことを見てくれていたなんて!!
「俺さ、一目惚れっぽいんだ。入学式の日の帰りに、1人スケッチブックと鉛筆を持って、絵を描いてる胸に花をつけたままの新入生に」
私は目の前のグラウンドをぼーっと見つめながら先輩の話を聞いていると、話が途中っぽいところで切れたので、先輩の方を向いた。
そしたら先輩も私を見ていた。
「その新入生が君。ボールぶつけちゃって、保健室に運んだのが君だって分かってさ、運命だって…チャンスだって思った」
「だからあんなに『でこ平気?』って聞いてきたんですか?」
「そういうことかも。迷惑だった?」
「いや、全く!!話しかけてくれるだけで嬉しかったですから」
私が笑いかけると先輩も笑ってくれた。