初恋の絵
美術室からはグラウンドがよく見える。
もちろん小峰先輩も。
小峰先輩は、ショートで3番打者のようだった。
先輩はいつもすれ違って目が合うと、『でこ平気?』って聞いてくる。
一週間もすれば腫れも引くのに、ずっとこうやって同じことを聞いてくる。
でもね、話しかけてくれるだけで嬉しいんだ…。
私は美術室からグラウンドを見ながら思った。
先輩を描こう。
でも、他の人にバレるのは嫌だから、もともと野球はお兄ちゃんの影響で好きだから、単に野球が好きってことで描こう。
私はそう決意したのだった。