初恋の絵
平日の放課後は美術室から、土日は野球部の練習が終わった後にグラウンドで、美術部以外の人にバレないように描いた。
テーマが決まってるだけだから、レイアウトみたいなのは基本自由。
本当の風景であっても、想像上のものであってもいい。
とにかく小峰先輩のことを誰にもバレないようにするだけ。
野球部の日程は、昇降口に全部活の日程が貼ってあったから、そこで調べた。
「澤田さん、見て!!」
私が美術室で鉛筆で下書きをしていると、金谷さんが画用紙を見せてきた。
「もうできたの?」
「うん!!ジャーン!!」
白かろカラフルになったキャンバスからは、まさに『好き』が伝わってきた。
こんなに『好き』が表れちゃいけない私は、ちょっと悲しかった。