初恋の絵
「てかさ、本当上手だね、絵」
先輩はまたあの時と同じ爽やかな笑顔で微笑んでくれた。
「美術部ってさ、毎月テーマがあんでしょ?」
「はいっ!!そうみたいです。…何でそれを?」
「ああ。中川がさ、テーマどうしようどうしようっていつも考えてるんだよ。絵よりテーマに時間かけてるよ、あいつ」
目に浮かぶ中川先輩の焦る姿。
思い浮かべたら、笑ってしまった。
「…かわいい」
「へっ…?」
「あ、いや…何でも」
先輩は顔をそらした。
夕日に照らされているせいかもしれないけれど、先輩の頬は赤かった。