ともだち



ジャリ、ジャリ



私が歩き出すと、それに合わせて綺麗に敷き詰められた小ぶりな石たちが音をたてた。



辺りはとても静かで、私以外に誰もいないように見えた。


まあ、そもそも賑やかな場所ではないんだけど。


そう思いつつも足は真っ直ぐ「例の場所」へと向かっていく。





今日はともだちに会いに行く日だ。

私のともだち、親友には久しぶりに会いに行く。




会いに行くのは一年ぶりだな。もう一年経ったのかと私は内心で驚いていた。



私の手にはさっきお店で買ってきた花が、束になって収まっていた。



今日はその親友の誕生日だから、彼女にあげるのだ。



今までそんなことはしたことなかったから、きっと彼女は驚くのだろう。



驚いて照れ隠しに悪態をつく彼女の様子を想像してみるとなんだか懐かしい気持ちになって、私は空を仰いだ。






彼女は高校時代の親友だった。





けれど、今では離れ離れになってしまって、こうして一年に一度だけ私が会いに行っている。




たまに嫌味を言ってくることもあったし、喧嘩だって何回もしたことがある「悪友」のようではあったけれど、それでも大切なともだち。



今から、そんな彼女に会いに行く。






< 1 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop