ともだち
こほん、と咳払いして話題を変える。



「誕生日おめでとう」



私がそう告げると、彼女はまたニヤニヤと笑った。



「私にお花買ってきてくれたの?今までそんなことなかったくせに」

「うるさいな」



どうやら、手に握られた花の存在にもすぐに気がついたようだ。



「まあ、せっかく会いに来たからにはと思って」

「そっか」


彼女は一旦花に手を伸ばしたが、何かを思い出したかのようにその手を引いた。



「そんなことより!近況報告!」

「あー、そうだね」


この一年間あったこと。何気ない最近の愚痴。




「そうだ、私結婚するんだ」


彼にプロポーズされて、と告げると彼女は目を丸くした。



「えー、おめでとう」




何気なさそうに手の甲と手の甲をカチカチをぶつけながら、彼女は唇を尖らせた。




「何か羨ましいんだけど」

「‥‥はいはい」



私はそんな彼女の様子に曖昧に微笑んだ。



< 3 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop