ともだち
***



私が引き返してさっきまでの場所に戻ってきたとき、もう彼女の姿はなかった。




「やっぱりか」




私はため息をついて、「そこにあるもの」に目をやった。













墓があった。





私の親友である彼女は、高校卒業後に車に引かれて亡くなった。

ここは彼女の墓だ。





私は黙って花の束を手で取り、一本一本丁寧に水が十分に入った竹の筒に差していった。






ここに来る前に店で買った黄色い菊の花。




私は彼女が亡くなってから、こうして一年に一度。彼女の誕生日の日に墓参りに来ている。




最初に彼女に「会った」のは何年目のときだっただろうか。



私が訪れると、そこに彼女がいた。




姿は亡くなったときのままで、何年経っても、私が歳を重ねていっても、変わらないままだった。


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