ここにいるよ
アタシが立ち上がると、新もほぼ同時に立ち上がる。




「付いて来ないでよ。」




一人になりたいんだから。




アタシが知らない事が次々と起きている。




気持ちの整理をする為に一人になりたい。




玄関を出ると、アタシの気持ちを無視した初冬の暖かな陽射し。




「‥何で付いてくんのよ‥」




一人になりたいのに‥




新は少し離れてアタシの後ろを歩いている。




「空が‥心配だから」




そうやっていつも子供扱いする。




‥ウザったい。




でもアタシは‥




そんな新にいつも甘えていた。




両親からはもらえなかった愛情を‥




新に求めている。




娘が事故に遭い意識がないのに引っ越す両親。




「いいチャンスだったんだね‥きっと」




我慢できなくて声に出してしまった。




「え‥?」




後ろの新がアタシをじっと見つめている。




視線で背中が痛い。




「引っ越し。アタシは邪魔だったんだ。」




腹が立った。




《何でアタシを産んだの?》




そう聞いてやりたい。




「‥空」




新が後ろからアタシを抱きしめた。
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