ここにいるよ
親友じゃなかった。




空だけが‥


親友と思っていたんだ。




怒りが込み上げた。


今までに感じた事のない怒りが‥




「‥きゃッ!」




俺は杏奈に手を上げようとしていた。




杏奈が怯えた顔で俺を見る。




「新!」




‥。




後ろから、俺の制服の裾を掴んだのは空だった。



「‥空‥」




見られていた。



杏奈と裕紀の関係も‥

知られてしまった。




「バカ新‥女の子に手あげる方が最低だよ」




笑いながらそう言う空の目に涙が‥




「帰ろ‥新」




空は俺の手を握って歩き出した。




「バイバイ‥杏奈」




杏奈に声をかけて。




その時‥


もしもその時‥


俺が空に気持ちを伝えていれば‥




空は生きていたかもしれない。




あの赤い車に飛び込む事はなかったのかもしれない。




でももう‥




全て手遅れだ。




その二日後、空はこの世を去ったのだから。
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