ここにいるよ
空の葬儀は呆気なかった。




久しぶりに見た空の両親。




「大きくなったわね。」




そう俺に声をかけてきた空の母親。




以前よりもケバケバしく、化粧の臭いが鼻をさした。




「空‥寂しがっていました。」




仕事だから仕方ないのよ。




そんな顔をしている。




「あの子には‥可哀相な事をしたわ。」




本当に思っているのか?


疑ってしまう。




「‥おい」




空の父親が母親を呼びにきた。




葬儀を早く済ませたそうだ。




「来週にも私達引っ越すわ。本当に今までありがとう」




そう言って軽く頭をさげ、俺の前から立ち去って行った。




空は‥


愛されていたのだろうか?




杏奈は一瞬だけ葬儀に出ていた。



ほんの一瞬。




例え世界中が敵でも‥


俺は永遠に空の味方だよ。




小さな小さな白い骨になってしまった空に、俺は語り続けた。




葬儀から一週間も経たないうちに、空の家は引っ越した。




離婚したとウワサでは聞いた。




俺にはどうでもいい話だが‥
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