青春の備忘録
 色々な人の話し声や笑い声が響いてお互いに打ち消してしまっているような喧騒で、すぐ目の前の道も人だかりで塞がれている。
 私は近くの教室のクラス番号を見た。
 「1-8」「1-9」
 同学年のスポーツを頑張るクラスだった。
 私はすうっと息を吸った。
 なんだかこっちの人たちも体格がいい人が多いし騒がしいけど、同学年だし、私は雑巾を洗わなきゃなんだからと自分で自分の背中を押した。
 「すみません、失礼します!」
 少し張った声で目の前の人だかりを分けるように進む。
 ついさっきまであった騒がしさのなかにひそひそと話す声が聞こえるのを感じた。
 何だか大勢の人の視線が背中に刺さるのを感じる。
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