青春の備忘録
「お、田川さんじゃないすか!」
9組の教室に入るタイミングを窺っていると、8組の教室から健斗が出てきた。
健斗は振り返って、教室の中に、
「上原!田川さん来てるぞー!」
と声を出した。
「あ、いや……あの、今日は8組じゃなくて9組に用事なの、修学旅行の話し合いで」
私は急に自分がやって来たことを大仰に言わなくても、と少し困った表情を見せた。
「あれ、もしかして田川さんも東京すか?」
「うん、東京。村田くんも東京なの?」
健斗は教室の方を指差した。
「野球部は全員東京っす」
なるほど、野球部は修学旅行を終えればすぐ冬練が始まるし、日本から一番距離の近い香港を選ぶことになっているのかもしれない。
今となっては東京になってしまったが。
9組の教室に入るタイミングを窺っていると、8組の教室から健斗が出てきた。
健斗は振り返って、教室の中に、
「上原!田川さん来てるぞー!」
と声を出した。
「あ、いや……あの、今日は8組じゃなくて9組に用事なの、修学旅行の話し合いで」
私は急に自分がやって来たことを大仰に言わなくても、と少し困った表情を見せた。
「あれ、もしかして田川さんも東京すか?」
「うん、東京。村田くんも東京なの?」
健斗は教室の方を指差した。
「野球部は全員東京っす」
なるほど、野球部は修学旅行を終えればすぐ冬練が始まるし、日本から一番距離の近い香港を選ぶことになっているのかもしれない。
今となっては東京になってしまったが。