青春の備忘録

　「もうそろそろ行かなきゃ、他のみんなにもよろしくね」
　私はそう言って9組の教室へ向かった。
　「失礼します」
　一緒に来ていたクラスメイトの2人と一緒に教室に入る。
　教室に入ったと同時に、拍手、歓声などが混ざり合った喧騒に包まれる。
　「わ！田川さんだ！」「近藤の彼女の！」「違(ちげ)えよ、上原のだよ」「え、マジ？」
　ひときわ大きな声で話しているのはやはり野球部である。
　同じ部活だし、寮も同じなので色々と「情報」が共有されているのだろう。
　私はどれかに返事でもしたら面倒なことになりそうだと思ったので、あえて聞こえないふりをして、教室の後ろの方に座った。
　この日は修学旅行の持ち物や行程の確認から始まって、授業終わりの少しの間で自由行動の行き先を考え始める時間となった。