青春の備忘録
 「えっと、どういったことですか」
 「とりあえず来てください」
 「えっ」
 サッカー部は、早足でもといた教室の方へ戻っていった。
 大勢の人が私の方を見ている。
 これでは見て見ぬふりをして抜け出すことはもうできない。
 私は渋々彼についていった。
 「どうも、こんにちは。それで、聞きたいことって……」
 集団の中で口を開いたのは、健斗だ。
 「上原のこと、どのくらい好きですか」
 私は、「は」とも「ん」ともつかない、よく分からない音を口から出した。
 やはり碌な質問ではなかったが、これは逆に告白してもらえるチャンスに繋がるかもしれないし、いつかは気持ちを伝えておきたい。
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