青春の備忘録
 良太と両思いだと分かった12月から、いや、文化祭があった10月からずっとアプローチしたいという気持ちはあったが、私はあえてそれを控えていた。
 高校生活で受験を主とする私はすでに志望校も決まっていて、しかもその志望校は自分の学力より低いところなのでいわゆる「受験勉強」はそこまで大変なものではない。
 しかし、ずっと野球一筋で伝統校に入学し、野球を続けている彼、彼らである。
 たった一人の私情でキャプテンとしての良太、選手としての良太、そしてチームにはなるべく影響したくなかった。
 そういうことで、今年の夏大が終わるまでは絶対に自分からはアプローチしないと決めていたのだ。
 勿論、向こうからアプローチがあればそれは相手が許していることになるので拒むつもりはなかったが。
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