青春の備忘録
 良太のことをどのくらい好きかと聞かれては、もうその答えは決まっている。
 少し幼稚な答えだが、本当は宇宙くらい好きだ。
 文化祭の時に感じた何かが心の奥底にストンと落ち着く感覚は、パズルの最後のピースがピッタリとはまる瞬間にも似ている。
 ひと目見るだけで元気が出る、思い出すだけで心が温かくなる。
 恋焦がれる。
 応援したいという気持ちがある。
 毎日、彼の存在に勇気づけられていた。
 私は軽く呼吸をして、両手を頭の上に持っていってハートの形を作った。
 「このくらい?」
 こんなことをするのはなんだか恥ずかしい。
 100人の前で歌うよりも恥ずかしい。
 良太はクラスメイトの陰からその様子を見ていたようだが、周囲からはいつもより大きな歓声が湧き上がっていた。
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