青春の備忘録
 いまだにクラス総出で揶揄(から)われているのではないかと思ってしまう。
 一軍や二軍と呼ばれるような生徒の間での階級を作った場合に確実に頂点に立つであろう野球部と、底辺にいる「ガリ勉」である。
 クラス分けで付けられた階級はあくまでも教師が作った階級である。
 実際に「ガリ勉のくせに出しゃばったことをして」と(さげす)まれたことがあるからこそ、生徒たちの中にも見えない階級があり、私はその階級で下の方にいるということは容易に想像がつく。
 本当はそんな階級があるなんて考えたくもないし、普段から強く意識しているわけではないが、この現場を見ていれば分かる。
 そんな私と野球部、しかも主将という彼はどうしても釣り合わないのではないかと思う。
 相手が誰であれ、本来、自分の好きな人が自分のことを好いてくれているということはとても嬉しいことである。
 しかし、私は打算しているのか、(ひね)くれているのか、どこか素直に喜べていないところがあった。
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