青春の備忘録
5月──馴れ合い
そうして4月が過ぎ、高校生活にも慣れてきた5月。
この頃になると、毎日会っている向かい側の教室の人たちにも名前やクラスが知られているようになっていて、さらに話しかけられることが多くなった。
誰かが廊下で私の姿を見ると、
「田川さんが来た」
「田川が来たぞ」
と、声がして、人混みを掻き分けて通っていたはずの廊下が、今ではすっかり道を開けてもらえるようになった。
「ありがとうございます。どうも、こんにちは。お疲れ様です」
私は左右の人たちに声をかけながら洗い場まで行き、いつも通り雑巾を洗う。
ある日、水道を使い終わって、さあ教室に戻ろうという時に、
「田川さんって、6時55分発の電車で学校に来てますよね」
という男子生徒の声がした。
この頃になると、毎日会っている向かい側の教室の人たちにも名前やクラスが知られているようになっていて、さらに話しかけられることが多くなった。
誰かが廊下で私の姿を見ると、
「田川さんが来た」
「田川が来たぞ」
と、声がして、人混みを掻き分けて通っていたはずの廊下が、今ではすっかり道を開けてもらえるようになった。
「ありがとうございます。どうも、こんにちは。お疲れ様です」
私は左右の人たちに声をかけながら洗い場まで行き、いつも通り雑巾を洗う。
ある日、水道を使い終わって、さあ教室に戻ろうという時に、
「田川さんって、6時55分発の電車で学校に来てますよね」
という男子生徒の声がした。