青春の備忘録
 どうして名指しされたんだ?
 まさか何かしらの話が渡っていて認知されているのか?
 私の頭の中は渦巻いていた。
 「はい、田川です」
 ここは一応何も知らないふりをして答えておく。
 「確か野球好きだったよね」
 「え、あ、はい。野球好きです」
 この先生とは一回も話したことがないはずだが、どうしてこんな会話になっているのか、見当がつかなかった。
 やはりどこかしらか私の話が伝わっているのだろうか。
 「野球部もたくさん応援させてもらっています、いつも見てる私の方が勇気づけられていて……」
 「いやあ、それは嬉しいなあ。野球は高校野球だけ?プロだったら好きな球団とかあるの?」
 ここからは教室の中で先生と私の会話が進められる。
 
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