青春の備忘録
 実際、これまで部活のメンバー全体でのステージで成功した試しはない。
 人前で音楽を続けてきた自分とはどうしても意識が合わなかったらしく、私は4月になるとすぐに顧問の元へ受験勉強が忙しくなると理由をつけて退部届を出し、一部のメンバーにも4月付で部活を辞めると話しておいた。
 いつかは部長にも言わなければならないと思っていたが、今回ばかりは部活動紹介のためだけに練習をしていたこともあって、いてもたってもいられなかった。
 私は、授業直前なのも気にせずに8組の教室へ向かった。
 「田川さん来たぞー!」
 いつもの流れである。
 「ごめんね、今日は皆さんじゃなくてうちの部長に用事なの。もしいたら呼んでもらってもいいかな」
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