青春の備忘録
 本番は地元のケーブルテレビや新聞社が来るほどの注目ぶりであった。
 運動部の生徒は、それぞれの部活のユニフォームを着ている。
 特に部活に入っていない私たちは体操着だが。
 ダンスはなんとか練習して覚えることができ、無事に成功した。
 私はダンスなんて久しぶりのことで楽しかったが、それよりも、ユニフォーム姿の野球部を近くで見ることができたのが嬉しかった。
 野球好きとしては当然のことかもしれなかったし、普段見る彼らの姿は制服なので、どうしても格好良く見えた。
 グラウンドの隅で涼んでいたところに野球部一同が通りすがるのを見て、一瞬迷いながらも私の体は衝動的に動いていた。
 本当ならまだ、干渉すべきときではないけれど、どうしても伝えたかった。
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