青春の備忘録

7月──すれ違いは進む

 梅雨が明けて夏日が増えると「彼ら」も一段と元気が増すらしく、ある日、移動教室の帰りで教室に戻っていると、少し遠くの廊下にいる集団から1人がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
 手招きをしているのは健斗だった。
 後ろに誰かいるのかと思い振り返ってみたが、誰もいない。
 「私?」というように自分を指差すと、健斗は大きく(うなず)いた。
 ああ、今回はちょっと面倒なことになりそうだ。
 そう思ったのは、向こう側にいる「彼ら」がサッカーのチャントのような、野球の応援歌のような何かを歌って踊っているからである。
 私は少し引き気味に健斗について行った。
 「上原、頑張れよ」
 「俺らが応援してるから、な!」
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