青春の備忘録
 チャント、あるいは応援歌はその物の通り「応援」だったのだろうか、もうこの雰囲気は何度も経験している。
 私は、「どうぞ言ってください」とでも言うように、立っていた。
 しかし、良太はここで思いがけないことを言った。
 「僕は、あなたのことが嫌いです」
 正直、「またか」と思った。
 もう「嫌いだ」と言われるのには慣れすぎていた。
 私は、冗談半分と見せかけて、
 「え〜、そんなに嫌いって言われると、こっちも辛いなあ。いつも言ってるけど、別に上原くんが私のことを嫌いでもいいけど、だけど、私が勝手に好きなだけなんだから。勝手に好きで勝手に応援してる、それだけ」
 といつもよりも少しだけ強く出てみた。
 
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