青春の備忘録
 横からスッと入ってきたのにも驚きだが、やはりどこかの陰でこの流れを聞いていたのだろうか。
 それにしても「言わない約束だった」なんて、と私は思った。
 確信犯じゃないか。
 きっと、私がいると素直に「好き」を表現できなくなるのだと。
 続けて、サッカー部のキャプテンが、
 「あいつ、普段は田川さんが来ると隠れるし、嫌い嫌い言ってますけど、あれは愛情表現なんですよ!」
 と言った。
 「はあ、愛情……表現ですか……」
 この時、私は理解し難いというような表情をして見せたが、内心、全て合点(がてん)がいっていた。
 不器用で天邪鬼(あまのじゃく)だけど、私が見ている彼は不本意な行動をとっているのだと、そう理解した。
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