青春の備忘録

10月──決別

 秋になり、帰りの寒さもきつくなってきた。
 ある日、私は塾の課題を終わらせるために、7時まで学校に残っていた。
 時計を見ると、塾に間に合う電車があと一本しか残っていないという状況で、私はその電車に間に合うために、足早に学校を出た。
 かなり急がないと間に合わないという状況だったが、急に名前を呼び止められた。
 誰だろうかと思って振り返ると、そこにいたのは健斗ともう1人の野球部員である。
 「あら、お疲れさまです」
 部活を引退した彼らだが、特定の曜日だけ、私たちと同じように6時半まで課外授業があるらしく、今日はちょうどその日だったようだ。
 私は2人に挨拶をして先を急ごうと思ったが、2人は、私の方にスマホを向けて、こう言った。
 「上原に一言お願いします」
< 158 / 174 >

この作品をシェア

pagetop