青春の備忘録
 また両脇にいる人たちに、
 「部活頑張ってください」
 と、声をかけながら2つの教室の前を通っていく。
 図書館の見える角を曲がったところで、誰かの声がした。
 「日向子レーダー!」
 私は首を(かし)げてゆっくりと後ろを向いた。
 坊主、ぱっちりとした目、厚い唇、自分の方を向いている2本の人さし指。
 (小学生男子……?)
 どこか神妙な表情の「レーダー」の持ち主。
 思わず私は何がどうなっているのか分からなくて、一歩後ろに下がった。
 彼も私が下がった分、前に出る。
 「日向子レーダー」
 ただ無邪気な笑みを浮かべる彼。
 「あ、あの!!すみません!戻ります!」
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