青春の備忘録
 図書館の前を通り角を曲がると、いろいろな人の、いろいろな声が聞こえる。
 私は自分に挨拶をしてくれたり、声をかけてくれたりする人に挨拶を返しながら洗い場まで行く。
 「田川さん、来たぞ」
 誰かがそう言うと、それまで列ができていた水道の前がパッと空く。
 「すみません、いつも。失礼します」
 私は会釈をして雑巾を洗う。
 「日向子ちゃん、いつもこんな感じなの!?」
 私の後ろから驚いた声を出していたのは、梨沙である。
 「うん、よくわからないけど、いつもこんな感じ」
 軽くこすり洗いした雑巾を固く絞る。
 「よし、洗えた。戻ろう」
 私は梨沙にそう言って、
 「ありがとうございます、今日も皆さん部活頑張って」
 と周囲に声を掛けてその場を後にする。
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