青春の備忘録
 またみんなの前でギターを弾きたいなあ、と思っているところに、見慣れた集団が現れた。
 「みなさん……!」
 私が掃除をしていた廊下の近くの階段の踊り場には、野球部の人たちが来ていた。
 「田川さんの教室、ここっすか」
 一番手前にいた元気の良い感じの人が尋ねる。
 「はい、今年から1組です」
 私は教室の前に掛かっている、クラス名の書かれた札を指した。
 「俺らのちょうど真下の教室っすね」
 元気の良い野球部の後ろにいた背の高い人が付け加える。
 「えっと、みなさんは」
 「8組っす、去年9組だったヤツもいるけど」
 他のクラスでも私と同じように文系と理系でクラスの再編成が行われていたようで、彼らは文系だということだ。
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