青春の備忘録
「田川さん、こいつは知ってますよね」
笑い混じりの残りの4人を見ながら私も微笑む。
「近藤くんね。いつもお世話になってます」
廊下で談笑していたところで、掃除時間の終わりを告げる予鈴が鳴った。
「やべ、戻んないと」
5人は嵐のように去っていった。
私は掃除用具を片付けながら、やっと名前を知った5人のことを考えた。
8組や9組の人たちは私のことを知っている、だけど、私はこれまで誰の名前も知らなかった。
そういえば、健斗はいつかの日に私が学校に行くのに乗っている電車の時間帯を特定していた気がするし、啓もどこかで見ていたような気がする。
そして一番気になるのは、
「上原……!」
私の口が口パクで「うえはら」と言ったときに思い出した。
「日向子レーダー」だの何だのとチョコマカと動いて、名前も言わずにSNSをフォローしてくれと言ったあの人だった。
無常識な、とも思ったが、私の口には不思議と笑みが浮かんでいた。
笑い混じりの残りの4人を見ながら私も微笑む。
「近藤くんね。いつもお世話になってます」
廊下で談笑していたところで、掃除時間の終わりを告げる予鈴が鳴った。
「やべ、戻んないと」
5人は嵐のように去っていった。
私は掃除用具を片付けながら、やっと名前を知った5人のことを考えた。
8組や9組の人たちは私のことを知っている、だけど、私はこれまで誰の名前も知らなかった。
そういえば、健斗はいつかの日に私が学校に行くのに乗っている電車の時間帯を特定していた気がするし、啓もどこかで見ていたような気がする。
そして一番気になるのは、
「上原……!」
私の口が口パクで「うえはら」と言ったときに思い出した。
「日向子レーダー」だの何だのとチョコマカと動いて、名前も言わずにSNSをフォローしてくれと言ったあの人だった。
無常識な、とも思ったが、私の口には不思議と笑みが浮かんでいた。