青春の備忘録
7月──予期せぬ事件
「赤のボールペン、ノート一冊……」
ある夏のお昼休み、私は財布を手に購買部に向かっていた。
3階から階段を下り、1階へ向かう。
棚いっぱいに並んでいるボールペンの中から目当てのものを探していると、
「田川さん」
と、誰かに呼ばれた。
「はい、あっ、村田くんだね」
声の主は8組で野球部の健斗である。
背の高い彼を前にして、私は首をくっと上げた。
「田川さん、近藤と付き合ってるってまじすか」
「え?いや……付き合ってないですよ。近藤くんがそう言ったの?」
健斗は大きく頷いた。
若干興奮気味である。
「あいつ、田川さんと付き合ってるって、去年の秋くらいから言ってましたよ」
私は何か勘づくところがあった。
ある夏のお昼休み、私は財布を手に購買部に向かっていた。
3階から階段を下り、1階へ向かう。
棚いっぱいに並んでいるボールペンの中から目当てのものを探していると、
「田川さん」
と、誰かに呼ばれた。
「はい、あっ、村田くんだね」
声の主は8組で野球部の健斗である。
背の高い彼を前にして、私は首をくっと上げた。
「田川さん、近藤と付き合ってるってまじすか」
「え?いや……付き合ってないですよ。近藤くんがそう言ったの?」
健斗は大きく頷いた。
若干興奮気味である。
「あいつ、田川さんと付き合ってるって、去年の秋くらいから言ってましたよ」
私は何か勘づくところがあった。