青春の備忘録
 「田川さん」
 「こんちわっす」
 階段を上がった先の廊下には、すでに8組の野球部が集まっていた。
 彼らはいつも、休み時間になると廊下に出て話をしている。
 「こんにちは、あの、近藤くんいますか?」
 颯は数人が集まっていたところからスッと出てきた。
 「近藤くん、私と付き合ってるって皆さんに話していたそうね」
 廊下には生温かい風が吹いている。
 「知らないっす」
 颯は全くしらを切っていた。
 私はくるりと後ろを振り返って、健斗に問いかけた。
 「村田くん、近藤くんが私と付き合っているって言っていたのは本当だよね?」
 健斗はこくこくと頷き、周囲にいた他の生徒も同意しているようだった。
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