青春の備忘録
 「田川、また寝てるのか〜、ちゃんと起きてろよ〜」
 男性教員の声で目が覚めた。
 「はい……」
 今日も眠たくなって、机で寝てしまっていた。
 大広間を見回っていたのであろう教員は、もう数歩先にいた。
 あまり意識がないまま、ただ時間が過ぎていくのを待っていたが、その日の夜になって私は、ハッと目が覚めた。
 今日は高校野球の夏季県大会だ。
 野球部の試合があった日だった。
 ご飯やお風呂を済ませて足早に自室へ戻り、本当は持ち込み禁止だったスマホを開く。
 「やった!」
 私は一人で、小さくガッツポーズをした。
 野球部は準決勝戦で勝ち、決勝に進むことになった。
 次の試合は……。
 「はあ……」
 ちょうど学習合宿の最終日だった。
< 68 / 174 >

この作品をシェア

pagetop