青春の備忘録
 高校でも全校応援はされていたが、参加できたのは学習合宿のない8組と9組だけだった。
 「でも私……全校応援とは違うので……買わせていただけませんか」
 「もう6回裏ですよ、券はいいんで早く見に行ってください」
 私は、少し申し訳ないと思いながらも、会釈をしてスタンドへ向かった。
 一塁側に向かうと、全校応援の生徒が前列から順に座っていた。
 その隣のブロックには部員もいる。
 ああ、私も全校応援に行けたらなあ、と思った。
 前列からは大きく離れたスタンドの上の方へ登る。
 試合は同点で9回を迎え延長戦に入ったが、あと少しというところで優勝を逃した。
 私はすぐに観客席を離れた。
 負け試合に長く居残りたくなかった、ということもあったが、何より家に連絡を入れずに試合に行っていたので、早く連絡して家に帰ろうと思った。
 対戦校の校歌を背に駅へ向かった。
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