虜囚島
「え?神社なかったかしら?」
たまらず、私は聞いた。
「ないよ!」
三人同時に応えられてしまった。

「おいおいしっかりしてくれよ、寝ぼけてるのか?」
広一が悪態をついてきた。
いつもなら頭に来るところだが、今日の私は、その神社の件が気になってしょうがなく、それどころではなかった。

自分でもおかしいと思ってはいる。
他の三人が否定しているのに、なぜこんなにも引っ掛かるのか。
何より、神社の位置も頭に浮かんでいないのに、この確信は、どこから来るものなのか?
自分の事にも関わらず、自分の思考が読めなかった。

「じゃあ、俺らは帰るわ」
徹の言葉で、私は我に返った。
すっかり考え込んでしまった様だ。
「色々準備があるからね、今日は二人とも会社を休んだのよ」
島を出るには色々と手続きが必要だから、確かに忙しいのだろう。

「よし、じゃあ俺も仕事に戻るかな!」
広一のその言葉で、一同は解散となった。
< 9 / 17 >

この作品をシェア

pagetop