最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる2。〜学園編〜
「幻夢がどこに行ったとかわかる人は?行き先を聞いてた人は!?」


「アネキ、落ち着いてください!」

「焦っても仕方ないですって」


「それはそうだけど…」


私にしては珍しく取り乱した。舎弟の前で情けない姿を見せるなんて闇姫として失格だ。


「みんなは幻夢のことが好き?」

「もちろんです!」


「当然ですよ。だって、幻夢アニキがいなかったら今頃俺ら飢え死にしてましたし」

「今までも敵が来たら幻夢アニキが守ってくれたんですよ」


私がいない間も幻夢は仲間のことを大切にしてきたんだ。これだけ仲間に信頼されているのに。


「狗遠総長のときはさすがにヒヤヒヤしたけどな〜」

「あれは幻夢アニキじゃなくとも敵わないだろ」

「最強総長の前に相手は吸血鬼だもんなぁ。普通の人間じゃ誰だってあんなのムリムリ」


「……」


この子たちはみんな1度怖い思いをしている。
私の弱さのせいで人質にされてしまって。捕まったとき、どんなに恐怖しただろうか。

あれだけの事があったのに笑いあって。
今こうして彼らは生きている。


私に言ったわよね?1人で抱えなくていいって。キツい時は支え合おうって。それが仲間であり家族だって。

そんな簡単なことさえ忘れていた私に幻夢(あなた)は思い出させてくれた。仲間の大切さを。


幻夢、あなたはどれほどの問題を1人で抱え込んでいるの?
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