最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる2。〜学園編〜
「…っ」

「姉貴?どうしたんです?」


「どこからか血の匂いがするの」

「血のニオイ?そんなのしませんが」


気づかないの?これだけ充満してるのに。

鼻をくすぐるくらい近くから匂う。


「一旦席を外すわ。あなたたちは先にお弁当を食べてて」

「ちょ…。姉貴!」


私は匂いが強くする方へと向かった。


…なんだろう。嫌な予感がする。

この胸騒ぎがどうか杞憂でありますように。


なんで私だけがわかるの?

その答えはもうわかっていた。けれど認めたくなくて。だってそれは私が吸血鬼と同じだと証明するようなものだから。


人の姿をしているけど私はもう人間じゃない。


壱流のためならなんでも差し出すし、覚悟だって決めたはず。なのに今さら怖がる必要がどこにあるの?


これ以上の恐怖を壱流は体験した。それこそ私が想像してるよりもずっと怖い思いをしてる。


あなたと同じになってやっとわかった。ただの人間が吸血鬼に近づくたび恐怖を感じるということを。

それは覚悟なんかじゃどうにもならないってことも。
< 14 / 53 >

この作品をシェア

pagetop