最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる2。〜学園編〜
「家族っていうのはお互いに信頼し合うもの。なのにコイツは僕を裏切った。これは制裁を加えないとって、そう思ったんです」

「信頼は大事だと教えたわ。でも彼にだって何か理由があったはずよ」


「理由って、たとえばどんな?」

「家族を人質に取られてたとか…。
大体裏切りって一体どこの」


「そんなの知りませんよ」

「知らないって…。だったら尚更傷つけることに意味なんて」


「姉貴、いつからそんなに甘い考えになったんですか?」

「え?」


「以前の姉貴ならそんなことは言いませんでしたよ。…やっぱり壱流さんの影響で変わったんですかね」


ねぇ、幻夢。私、そんなに変わった?


自分では自覚がないけれど、悪い方向に、ダメな方にむかってる?


私から見たら幻夢(あなた)のほうが変わったわ。


「いま壱流は関係ないでしょ。それよりも貴方のほうが心配よ。仲間が貴方を探してる。…たまり場に何日も戻ってないそうね」

「僕のことが心配?大して好きでもない僕のことを姉貴が?」


「好きでもないって…私は幻夢を家族と思ってるって何度も伝えたはずでしょ?」

「僕は…姉貴の中の家族カテゴリーに入れられるのが嫌なんです!」


「なにいって」

「だって、そうでしょう?姉貴の中じゃ自分が守るべきものはみんな家族で、大事な人はたった1人。それ以外はみんな敵」


「幻夢、私は…」

「図星をつかれて何もいえないんですか?」


そうじゃない。幻夢、今の貴方に何を言っても伝わらないかもしれない。


だって幻夢も仲間である舎弟(彼ら)のことを家族だって言っていた。

私を仲間に入れてくれたあの日、家族だって最初に言ったのは貴方のほうなのに。
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