最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる2。〜学園編〜
「幻夢……」

初めて友を失ったのは思った以上にダメージが大きかった。


死んだわけじゃない。戻ってくるかもしれない。でも帰ってこない可能性も捨てきれない。

その不安は消えなくて私はその場から動けずにいた。


目が痛い。泣きすぎのせい?


「また瞳が濃くなってる」

手鏡で確かめる。


白銀先生が以前話してくれた。私はまだ吸血鬼になって日が浅いから心が不安定になると瞳の色が濃くなるって。


元々赤いからコンプレックスだったけど濃くなるとさらに気持ち悪い、な。


今まで出会ってきた吸血鬼は吸い込まれるように綺麗な赤い目だった。なのに私のはどうして他の吸血鬼とは違うの?


「大雨の中なにやってんだ!」





急に視界が暗くなった。

上を見ると何故か傘があって。


「今日は急に天気が崩れるっていってただろ」

「壱流?」


「ん?どうした?」

「壱流あのね。幻夢が、」


「幻夢の野郎がまたお前に手出したのか」


「違う。なにもされてな…」

「……今はなにもいわなくていい」


壱流は察してくれたのか黙って私を抱きしめてくれた。


私だけが甘えていいんだろうか。幻夢のことを助けられない非力な私にそんな資格があるの?


だけど、それ以上に好きな人のぬくもりに触れないと壊れてしまいそうで。心の中で幻夢に何度も謝った。

そして私は壱流の腰に手をまわした。
< 25 / 53 >

この作品をシェア

pagetop